(不動産賃貸業)前受家賃は債務控除できるか

不動産収入(家賃・地代)は、一般的には「前払方式」といわれ、当月分を前月末までに支払うという内容が多いです。
所得税の確定申告において、前受家賃を支払を受けた年分の収入にしないで、役務提供する翌年分の収入に計上するために前受処理する場合があります。

たとえば、被相続人が4月10日死亡し、4月分家賃を3月末までに支払を受けた場合、被相続人の準確定申告において、3月末に支払いを受けた家賃を「前受家賃」として収入計上しないで、負債に計上することがあります。この前受家賃は、相続税の計算上、債務控除の対象になりますか。
前受家賃として処理しても、債務控除の対象にはなりません。

相続財産から差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるものに限られます。
企業会計は、期間損益を前提とするため、費用収益対応の原則による経理処理が要求されます。したがって、翌期に役務提供する家賃を当期末に収受している場合には、その収益計上を翌期に繰り延べるために、いったん負債性科目を用いて前受処理します。しかし、この前受処理は収益計上を翌期に繰り延べるための手法であって、借家人との関係において弁済すべき具体的な債務があるわけではなく、相続税の債務控除の対象となる「債務」には該当しません