親の敷地に子が住宅を建築し、地代を支払う場合、借地権控除できるか

借地権が設定されている土地の相続税評価は、貸宅地として、借地権割合分だけ評価額を引き下げることができます。
たとえば、借地権割合60%の地域で、自用地評価額1億円の土地に借地権が設定されている場合、この土地の相続税評価額は1億円×(1-60%)=4,000万円となります。
このように、借地権が設定されている場合、土地の相続税評価額を引き下げることができます。

親が所有する土地を子が借り、子が住宅を建築し、地代を支払う場合、この土地の相続税評価は、借地権割合分だけ引き下げることができますか。
借地権の設定にあたり、権利金を授受する慣行のある地域で、権利金の授受をしないで借地権が設定された場合、借地権相当額の贈与があったものとして贈与税の課税対象になります。したがって、ご質問のケースでは、権利金の支払をしないで借地権を設定し、地代の支払をすることになるため、親から子に対して借地権の贈与があったものとされ、贈与税が課税されます。
相続税評価額は借地権割合分を控除することができますが、贈与税の課税があるため、節税対策にはなりません。
したがって、子が住宅を建築するのであれば、地代の支払いをしない(使用貸借)にせざるを得ず、この場合の土地の相続税評価額は自用地評価額となり、引き下げることはできません。

しかし、住宅を同族会社が建築し、通常の地代を支払うことにし、かつ、税務署に対して無償返還届を提出することにより、その土地の相続税評価額を20%引き下げることができます。この無償返還届の制度は、個人が住宅を建築する場合には適用がありません。

アパートなどの収益物件を建築するのであれば、同族会社が建築する方法で相続税対策を実施するのが望ましいです。