親からの資金贈与で注文住宅を建築する場合の贈与税非課税制度の注意点(土地の先行取得)

平成24年1月1日から平成26年12月31日までの間に、父母・祖父母から住宅取得資金の贈与を受け、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅取得資金で自己の居住の用に供する家屋を取得した場合、住宅取得資金のうち一定金額について贈与税が非課税となります。

平成24年に贈与した場合の非課税枠は、省エネ等住宅の場合は1,500万円、一般住宅の場合は1,000万円です。

住宅取得資金として認められるのは、当初は受贈者が自己の居住の用に供する家屋(家屋の取得とともにするその家屋の敷地の用に供されている土地も含む)の取得等の対価に充てるための金銭に限定されていましたが、平成23年度税制改正で住宅用家屋の新築(住宅取得等資金の贈与を受けた日の属する年の翌年3月15日までに行われたものに限ります。)に先行してするその敷地の用に供される土地の取得の対価に充てるための金銭も対象に追加されました。

注文住宅のように、まず土地を購入し、そのあと住宅メーカーと請負契約で住宅を新築するようなケースにおいて、土地の購入代金に親からの贈与資金を充当することも可能となり、その適用が増加しました。

しかし、このようなケースにおいて、最近、税務署から贈与税の非課税の適用は認めないという事例が多数あるようです。

何が問題となっているのかというと、土地の名義と家屋の名義の関係です。

甲(夫)は、注文住宅を新築する予定があります。土地(2,000万円)を先行して購入し、そのあと建物(2,000万円)を新築します。土地の購入資金は、乙(妻)の親から資金贈与1,000万円と甲の自己資金1,000万円を充てます。建物の2,000万円は甲の住宅ローンで充てます。持分は、土地は甲乙各2分の1、建物は甲となります。
この場合、乙(妻)が乙の親から贈与を受けた1,000万円について贈与税の非課税の適用か可能でしょうか。
ご質問のケースでは、贈与税の非課税制度は適用できません。

住宅取得資金に先行取得する土地の取得代金に充当するケースも対象に追加されましたが、受贈者は建物を取得すること、つまり家屋に受贈者の持分があることが前提となります。

したがって、ご質問のケースでは、受贈者の乙は建物に持分がないため、贈与税の非課税は適用できないことになります。甲の住宅ローンの金額を減らし、乙の自己資金を建物の取得代金に充てることで、乙は建物の持分をもつことが可能となります。このようにすることで乙の贈与税の非課税制度の適用が可能となります。