市街化調整区域内の宅地の分家住宅について評価減が認められた事例

市街化調整区域内に農地は、原則として宅地転用は認められていませんが、農家の方で子供たちに住宅を建築させたい(分家)ときは、農業委員会の許可を受けることにより、宅地転用し、分家住宅を建築することが認められています。

<参考>分家住宅の要件

1 土地に関する要件
(1)敷地面積は500㎡以内であるか
(2)本家の敷地から600m以内であるか
(3)分家要件が確認できる土地であるか
「分家要件の確認できる土地」とは、次のいずれかに該当している土地をいい ます。
ア 線引き(昭和45年10月30日)前から申請人の直系尊属が所有し、現在も所 有している土地
イ 線引き前から申請人本人が所有している土地
ウ 線引き前から申請人の直系尊属が所有してきて、現在申請人が所有してい る土地
エ 線引き前から申請人の直系尊属が所有してきて、現在申請人の兄弟姉妹(2 親等内の血族)が所有している土地
オ 申請人の直系尊属が代々所有してきた先祖伝来の土地であって、線引き前 におじ又はおば(3親等内の血族)が相続して現在もおじ又はおばが所有 している土地(おじ、おばからさらにその子供に相続されているものは不 可)
カ 分家要件を満たしていた土地が換地処分又は交換分合となり取得した土地
キ 分家要件を満たしていた土地が収用対象事業(道路拡幅や河川改修などの 公共事業等)により収用となり、その代替地として取得した土地

2 申請人に関する要件
(1)分家住宅を必要とする合理的な理由があるか (例) 結婚したので、本家と別世帯としたい。 子供が増えて本家が手狭になり同居が困難になった。 現在はアパートに住んでいるが、親の近くで住みたい。
(2)他に自己用住宅を所有していないか ア 県外など明らかに利用できない家屋については規制対象外 イ 建築しようとする建築物に居住する方全員が所有していないこと(世帯単 位) (例) 夫は家を持っているので妻を申請人にする ⇒ 不可
(3)本家世帯と二年以上同居していたか

3 建築物に関する要件
(1)自己用専用住宅であるか 事務所や店舗などとの兼用住宅は許可対象になりません。また、建築した住宅を他の人に貸すことはできません。
(2)二世帯住宅でないか 風呂、台所及び便所の3点が2セットずつあるものは許可対象になりません。
(3)建築物の延べ面積が180㎡を超えるときは、やむを得ない理由があるか

4 本家に関する要件
(1)本家が存すること 「本家からの分家」であり本家があることが前提条件となります。
(2)本家は市街化調整区域にあるか 本家が市街化区域にある場合には原則として許可対象となりません。ただし、もともと調整区域であった区域がその後の線引きの見直しにより市街化区域に編入された区域に本家がある場合については、許可対象としています。
(3)本家の建築物は合法的に建築されているか

市街化調整区域内の分家住宅の相続税評価にあたり、固定資産税評価額に評価倍率を乗じた額から評価減できないでしょうか?
市街化調整区域内の農地であっても、分家住宅については、建築許可がおります。ただし、この許可は、「不動産」に許可が出ているわけではなく、「人」に許可が出ているわけです。したがって、原則として、分家住宅は第三者に売却することもできず、購入しても建替えができません。
このように市街化調整区域内の分家住宅は、通常の宅地に比べ、利用制限がかかっているため、30%評価減が可能です。