居住用財産の特例と住宅ローン控除の重複適用制限

自宅を売却し、その譲渡所得税について居住用財産の3,000万円控除や買換え特例の適用を受ける場合、買換え後の自宅に係る住宅ローンについて、住宅ローン控除の適用は受けられません。つまり、3,000万円控除、買換え特例と住宅ローン控除の有利な方しか選べないということです。

このように居住用財産の特例と住宅ローン控除には重複適用の制限がかけられています。重複適用の制限期間は、具体的には、居住用財産の特例の適用を受けた年分、その前後2年分(前々年分、前年分、翌年分、翌々年分)です。

たとえば、平成23年に自宅を売却し、平成23年分の所得税について居住用財産の特例の適用を受けた場合、住宅ローンで平成23年、平成24年、平成25年のいずれかで自宅を買い換えた場合、その買換え後の自宅について住宅ローン控除は受けられません。平成23年中で買換え場合で平成23年、24年、25年の3年分についてのみ住宅ローン控除の適用ができないわけではなく、住宅ローン控除の適用期間(10年間)すべてで適用ができないということです。住宅ローン控除の方が有利だからといって、当初申告した居住用財産の特例を修正申告で否認することは認められません。

また、自宅の買換えが先行し、そのあと売却することもあります。たとえば、平成23年に住宅ローンで自宅を買換え、平成23年分について住宅ローン控除の適用を受け、平成24年に自宅を売却し、平成24年分は居住用財産の特例の適用を受ける場合、平成23年分については修正申告をし、住宅ローン控除を否認しなければなりません。

私は、M区に自宅を所有しています。この自宅について平成18年より住宅ローン控除の適用を受けていますが、平成23年2月にS区の所有する不動産に転居しました。M区の自宅は賃貸に供しています。
平成24年2月にS区の不動産を売却し、居住用財産の3,000万円控除の適用を受けますが、この場合、平成22年分の住宅ローン控除は修正申告により自己否認しなければなりませんか。
居住用財産の特例と住宅ローン控除の重複適用期間の制限は、「居住年」を中心として見て、その前後2年間となります。「売却年」を中心とするわけではありません。
ご相談のケースでは売却年(平成24年)の前々年(平成22年)に住宅ローン控除の適用を受けていますが、重複適用期間の制限は、居住年を中心に前後2年分のですので、平成22年分の住宅ローン控除を修正申告で自己否認する必要はありません。