お子様が身体障害者である方からの相続対策の相談事例です。

父の財産は、預金・証券2億円、自宅不動産6,000万円です。
今回の相談のポイントは、相続税の節税対策とともにお子様の将来の生活資金の安定確保の2点です。

そこで、私どもが提案したのが「特定贈与信託」です。

特定贈与信託とはどのような制度ですか。また、相続税対策としてどのような効果がありますか。
特定贈与信託とは、障害者の方のためにご家族の方が障碍者の方を受益者として財産を信託し、障害者の方の生活の安定を図る制度です。信託財産は信託銀行が預かり、安定的な収益確保を目的として指定金銭信託受益権等で運用され、指定された方法で金銭を定期的に交付されます。
 具体的な手続きは、信託会社にて親が委託者、障害者である子を受益者として信託契約を
締結し、金銭を支払います。
 税務上の取扱いは、子が特別障害者であれば6,000万円、一般障害者は3,000万円まで贈与税が非課税となります。一般障害者の3,000万円非課税は平成25年度税制改正で新たに追加されたものです。相続税の計算においても相続開始前3年以内の生前贈与加算の対象にはならず、非課税です。
 したがって、まずは預金・証券の一部を特定贈与信託にしますが、特定贈与信託の利回りはそれほど期待できないでしょう。将来の生活資金を安定的に確保する意味でも残りの預金で賃貸不動産を購入し、安定的な家賃収入を得ることが望ましいと考えます。