生前、親が認知症になり、子供が後見人となることは多いです。ただ、後見人が親の財産を着服したりするケースが後を絶たないことから、後見人を監督する役割である後見監査人として弁護士などを選任するケースもあります。

 今回の相続税申告の依頼者も親の後見人として子供の内の一人が選任されていて、さらに後見監査人として弁護士を選任していました。
 
 親が亡くなり、後見監査人が裁判所に申請して後見監査人としての報酬を請求し、相続人が支払いました。今回の相続税申告において問題となったのが、後見監査人の報酬が債務控除の対象となるかどうかです。

相続開始後に相続人が支払った後見監査人の報酬は債務控除の対象となりますか。
 相続財産から差し引くことができる債務は、「被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められるもの」とされています。死亡時点で金額が未確定のものは金額を見積もることになります。つまり、ポイントは、相続開始時点で債務で確実と認められるものかどうかです。

 ところで、後見報酬、後見監査人報酬は成年被後見人の財産から差し引く(負担)こととされていることから、後見監査人が選任された時点で被相続人の債務として確実なものと認められます。

 したがって、被相続人の相続税申告において、債務控除の対象とすることができます。